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交通事故の加害者に請求できる主な損害項目

2018.05.13

加害者に請求できる主な損害項目

 交通事故に遭って加害者に請求できる損害項目は,大きく分けると,事故によって支出せざるをえなくなった費用(積極損害)と,事故がなければ得られたはずの利益(消極損害),精神的苦痛(慰謝料)に分類されます。

積極損害

治療費

 被害者が医療機関に支払う治療費(保険会社の一括対応により,保険会社から医療機関に直接医療費が支払われる場合も含みます)については,通常はその全額が損害賠償の対象となっていますが,過剰診療(疾患の程度に比して,医学的必要性ないし合理性が認められない治療行為),高額診療(特段の事由がないにもかかわらず,診療費が社会一般の診療費水準に比して著しく高額な治療行為),濃厚診療(疾患の程度に比して必要以上に丁寧な治療行為)にあたる場合,必要性・相当性がないとして認められないこともあります。

 高額診療の問題については,自由診療報酬で高額治療を受けていたところ,訴訟で診療報酬単価が争われ,1点10円の保険診療単価の範囲に限定した裁判例(東京地判平成25年8月6日(平成23年(ワ)第12078号))があります。

 とはいえ,医療機関を拘束するものではありませんが,平成元年に日本医師会と損保業界との間で成立した診療報酬基準についての合意があり,当該基準では薬剤等については1点12円,その他の技術料については+20%の1点14.4円が上限とされてますので,この額が実務上の目安になります。

 また,保険会社が一括対応を行っている場合,示談交渉段階で保険会社が診療報酬単価を争うことはまずありませんので,この問題が顕在化する可能性があるのは,保険会社の一括対応がなされずに自由診療報酬で治療を受けている場合(自費で治療する時点で保険を使用するのが普通ですので,かなり限定的です)や,訴訟手続きに移行した場合などに限られるように思います。

整骨院,接骨院の施術費用

 整骨院,接骨院の施術費用については,一般に,医師の指示に基づくものであれば損害として認められています。

 医師の指示によらない場合,裁判実務においては,①施術の必要性②施術の有効性③施術内容の合理性④施術期間の相当性⑤施術費の相当性,の各要件を満たすことが求められていますが,これらの要件を満たしていることを立証するのは容易ではありません。

 任意保険会社は,接骨院や整骨院の施術費用についても,比較的簡単に医療機関への直接費用を支払う一括対応を行っていますが,医師の指示や同意に基づかない場合,施術費が争点になれば,認められないケースは少なくないように思います。

 示談交渉段階では,高額でなければ既払いの施術費用の額が争わるケースはそう多くないと思われますが,訴訟手続きに移行すれば,争点になる可能性は高いと思われますので,注意が必要です。

付添看護費

 入院付添費は,医師の指示がある場合や,被害者の症状や年齢等により入院付添の必要がある場合に損害として認められています。

 職業付添人を雇った場合には原則的に実費全額が認められています。

 近親者の付き添いの場合の目安は,日額5,500~7,000円程度(日弁連交通事故相談センター「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)では6,500円,大阪地裁では6,000円)ですが,近親者が勤務先を欠勤して付添った場合において,給与収入を参考に,日額1万円の近親者付添看護費を認めた裁判例(福岡地判平成25年7月4日判例時報8229号41頁)もあります。
 また,入院付添費と同様に,被害者の症状や年齢等により通院付添の必要がある場合,通院付添費として日額3,000~4,000円程度(赤い本では3,300円,大阪地裁では3,000円)が認められています。

 さらに,退院後,自宅で日常生活上介護を受ける必要があるような場合,自宅付添費が損害として認められていますが,近親者の自宅付添費については,入院付添費よりは低額になることが多いとの指摘があります(日弁連交通事故相談センター「交通事故損害額算定基準」(通称「青本」)26訂版15頁)

通院交通費

 被害者本人の交通費については,原則として現実に支出した額全額が損害として認められますが,長期のタクシー利用などで通院交通費が高額になった場合,その必要性・相当性が争点になることがあります。

 公共交通機関利用の場合には実際に支出した額全額が,自家用車の利用の場合には,ガソリン代(通常1kmあたり15円で換算した額),高速道路料金や病院の駐車場代などが認められています。

 タクシー利用は,必歩行による移動が困難等の事情があり,その利用に必要性・相当性があれば損害として認められますが,必要性・相当性がなければ,電車やバスなどの公共交通機関の額の限度でしか交通費が認められない可能性もあります。

 また,被害者の年齢や受傷の程度などにより,通院付添の必要性・相当性が認められる場合には,付添人の交通費も損害賠償の対象となります。
 見舞いのための交通費については,付添の場合と比べると厳格な判断になりますが,被害者の年齢や受傷の程度,被害者と近親者との身分関係などによって認められることもあります。

入院雑費

 事故による入院中,日用雑貨の購入費や電話代,デレビカード代,新聞代など細々な雑費がかかることがあります。このような諸費用を指して,入院雑費と呼んでいます。

 裁判実務では,入院雑費の損害の認定において細々な雑費について個別に立証を求めておらず,日額1,500円前後の金額(自賠責保険では日額1,100円)で定額化されています。

特別室料(個室料など)

 特別室料は,医師の指示があったときや,症状が重篤で個室等を利用したほうが治療面で良い効果が期待できるとか,そうしなければ病状が悪化するなどという理由があるか,一般の入院室に空きがなかったりなど,特別な事情がある場合に,相当な期間に限って認められています。

消極損害

休業損害

休業損害の計算方法

  交通事故の損害賠償において,休業損害とは,「傷害の治癒(あるいは後遺障害の症状固定)までに発生する就労不能ないしは通常の就労ができないことにより生ずる収入減少額(青本26訂版69頁)」と理解されています。
 具体例としては,以下のようなケースが挙げられます。

  1. 交通事故で会社を休んだため,休んだ日の給与が支払われなかった。
  2. 交通事故で店を休業したため,売上がなかった。

 休業損害は,1日あたりの損害額(日額基礎収入)に休業日数をかけて算出するのが一般的です。

休業損害=日額基礎収入✕休業日数

 
給与所得者の休業損害

 給与所得者の日額基礎収入は,事故前3ヶ月の給与の合計額を90日で割って計算するのが保険会社における一般的な実務ですが,継続しての完全休業ではなく,就労しながら一定頻度で通院を行っている場合で,事故前の具体的な稼働日数,支払いを受けた給与の金額を証拠上認定できる場合には,休日を含まない実労働日1日あたりの平均額を基礎収入とする方法が相当だとの指摘があります(武富一晃裁判官の講演録「給与所得者の休業損害を算定する上での問題点(赤い本平成30年度版下巻)」38~39頁)

 通常は,雇用主に作成してもらう休業損害証明書,給与明細,源泉徴収票などから事故前の収入を証明することになります。

 

事業所得者の休業損害

 自営業等の事業所得者の場合は,原則として,事故前年度の申告所得に基づいて基礎収入が算定されます。

 事業所得者が確定申告をしていない場合,帳簿や銀行取引明細等の資料に基づいてから所得額を証明することになりますが,賃金センサスの平均賃金額によって計算されることもあります。

 申告所得を超える実収入がある場合については,証明できれば申告外所得を認めるというのが裁判所の立場ですが,申告外所得については厳格な立証が求められているため,なかなか認められていないのが実情です。

 
家事従事者の休業損害

 主婦などの家事従事者が家事を行えなくなった場合,代わりに他の誰かが家事を行わなければならない関係があれば,それは他人のための労働であって金銭的価値があると評価されますので,休業損害が認められることになります。

 基礎収入については,賃金センサスの女性労働者の全年齢平均給与額または年齢別平均給与額を基礎として計算されています。

 休業の範囲について画一的な算定基準はなく,回復状況に応じて休業率を逓減(最初の1ヶ月は100%,次の2ヶ月は50%,残り3ヶ月は25%等)して認定する方法や,実通院日数に応じて認定する方法など,実務で用いられている算定方法は様々です。

 
失業者・無職者の休業損害

 失業中だったり,無職の場合は,原則休業損害は認められません。

 しかし,就職内定を得ていたり,就職の可能性が極めて高い場合には,内定先の給与や賃金センサスの平均給与額などをもとに算定した休業損害が認められる場合もあります。

後遺障害による逸失利益

 後遺障害逸失利益とは,交通事故によって後遺障害(いわゆる後遺症)が生じなければ得られたはずの利益のことを言います。

 そして,この後遺障害逸失利益は以下のような方法で算定されます。

【後遺障害逸失利益】
=【①基礎収入】×【②労働能力喪失率】×【③労働能力喪失期間に対応した④ライプニッツ係数】

 詳細は,「後遺障害の逸失利益」を参照下さい。

死亡事故の逸失利益

 死亡した者の逸失利益とは,被害者が死亡したために,被害者が将来にわたって得られるはずであった利益を失ったことによる損害のことをいいます。

 逸失利益の具体的な金額は,生活費控除後の基礎収入額に,就労可能年数に対応した中間利息控除係数を乗じて,以下のように算定します。

【死亡した者の逸失利益】=【基礎収入】×【1-生活費控除率】×【勤務可能年数に対応したライプニッツ係数】

 詳細は,「死亡事故の逸失利益」を参照下さい。

慰謝料

傷害慰謝料

 傷害慰謝料とは,交通事故の受傷による精神的損害を賠償する目的の慰謝料のことをいいます。
 実務上,傷害慰謝料は,医療機関への入通院期間や日数に応じて算定されるため,入通院慰謝料とも呼ばれています。

 具体的な算出基準は,自賠責保険,任意保険会社,裁判所で各々異なる基準が採用されています。

自賠責保険

 具体的には,1日4200円(平成22年4月1日以降令和2年3月31日までに発生した事故に適用される基準。令和2年4月1日以降に発生した事故については1日4300円)×実治療日数(実際に入通院した日数)×2で算出しますが,実治療日数×2が総治療日数(初診から治療を終了した日までの総日数)を上回る場合には,総治療日数が限度となります。

任意保険

 保険会社が独自に定めている支払基準を任意基準と呼んでいます。

 自賠責保険よりは高額ですが,裁判所の基準よりは低いのが通常です。

裁判基準

 全国的には,赤い本や,青本が用いられていますが,大阪地裁や名古屋地裁では,独自の基準が用いられています。

 いずれも,入通院期間に応じて入通院慰謝料が算定されるのが原則ですが,通院が長期に渡る場合には,例えば赤い本の別表Ⅰでは実通院日数の3.5倍,別表Ⅱでは実通院日数の3倍が通院期間の目安とされることもあります。

後遺障害慰謝料

 「後遺障害慰謝料」は,交通事故によってケガを負い,治癒後も機能障害,運動障害,神経症状などの症状が残った場合に,そのこと自体に対して請求できる慰謝料のことを言います。
後遺症慰謝料についても,入通院慰謝料の場合と同様に,自賠責保険・任意保険・裁判所ごとに支払基準が設定されています。

 詳細は,「後遺障害の慰謝料」を参照下さい。

死亡事故の慰謝料

 交通事故の被害者が亡くなった場合,被害者自身の精神的損害についての慰謝料のほか,近親者固有の慰謝料が損害として認められています。

 詳細は,「死亡事故の慰謝料」を参照下さい。

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