顔の後遺障害

 交通事故によって顔に傷が残った場合、「外貌醜状」の後遺障害として、以下の等級が認定される可能性があります。

 外貌醜状では、労働能力に与える影響が争点となっています。

 加害者側の保険会社から、醜状は労働能力に影響せず、逸失利益は否定されるとの主張がなされ、争いになることがあります。

 この争点についての過去の裁判所の判例を見ると、被害者の性別、年齢、職業等を考慮した上で、

①醜状痕の存在のために配置転換を受けたり、職業選択の幅が狭められたりするなど労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれがある場合には一定割合の労働能力喪失を肯定して逸失利益を認める。

②労働能力への直接的な影響は認めがたいが、対人関係や対外的な活動に消極的になるなどの形で、間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれがある場合には、概ね100万~200万程度の額で慰謝料増額事由として考慮する。

③直接的にも間接的にも労働能力に影響を与えないと考えられる場合には、慰謝料も基準どおりとして増額しない。

 という取扱いを行っている傾向が見られます。

後遺障害等級 後遺障害認定基準
7級12号

外貌に著しい醜状を残すもの

(補足:著しい醜状とは、①頭部に残った手のひら大(指は含まない)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損、②顔面部に残った鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没、③頸部に残った手の平大以上の瘢痕、がある場合をいいます。)

9級16号

外貌に相当程度の醜状を残すもの

(補足:相当程度の醜状とは、顔面部に残った長さ5センチメートル以上の線状痕がある場合をいいます。)

12級14号

外貌に醜状を残すもの

(補足:醜状とは、①頭部に残った鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損、②顔面部に残った10円硬貨以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕、③頸部に残った鶏卵大以上の瘢痕、がある場合で、人目につく程度以上のものをいいます。)

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