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整骨院の施術費全額の必要性・相当性が否定された事例

2019.08.14

大阪地判平成30年12月11日(平成29年(ワ)第9320号、平成29年(ワ)第10712号)

争点

 整骨院の施術費の必要性・相当性が争点となりました。

判決文抜粋


ア △整骨院への通院の相当因果関係について
 前記認定事実によると,原告は,本件事故により頸部,腰部及び右足を負傷したことが認められるが,本件事故当日には痛み等はなく,本件事故の3日後である平成28年4月25日に通院した◯クリニックでは,レントゲン検査でいずれの部位にも異常が認められず,医師による特段の検査所見等もなく,何らの治療も湿布等の投薬すら行われなかったことからすると,原告が本件事故により負った傷害の程度は軽微と考えられる。

 そして,原告は,同日以降,病院等に通院することなく日常生活を送り,△整骨院に通院を開始したのは,本件事故から約1か月が経過した同年5月18日であるが,同日までの間に原告が通院をしなかった合理的理由は見当たらない。その後,原告は,△整骨院に高頻度で通院しているが,その間,同年10月14日に◯クリニックにて初診時との症状の比較を求めた以外には,医師の診察を全く受けていないため,△整骨院における施術は医師の指示等によるものではないし,その施術の効果についても客観的に判断することができない。
 以上によれば,△整骨院における施術が本件事故により原告が負った症状に対する治療として必要かつ相当であるとは認め難く,本件事故との相当因果関係を有するとは認められない。


解説

 コラム「交通事故で整骨院に頻繁に通うことをおすすめできない理由」で述べていますが,医師の指示によらない整骨院の施術費は損害として認められないリスクがあります。

 裁判実務においては,①施術の必要性②施術の有効性③施術内容の合理性④施術期間の相当性⑤施術費の相当性などの立証が求められていますが,必ずしもこれらの要件を満たさない場合であっても,一部については施術費を認めることが多く,施術費全額が否定される事例はあまり見られません。

 しかし,本判決では,事故から1ヶ月が経過した後まで整骨院への通院を開始しなかった合理的理由は見当たらないとした上で,整骨院に高頻度で通院しているが,初診と平成28年10月14日以外に病院へ通院していないことから医師の指示によるものではではないし,その施術の効果についても客観的に判断することができないとして,施術費の全額について事故との相当因果関係が否定されました。

 本件は,最近の裁判例における施術費否認リスクの具体例の一つとして参考になると思われます。

関連項目

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