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装具の買換費用はどのように認められるのでしょうか?

2019.08.12

装具費

 後遺障害によって失われた身体機能を補助し,生活上の困難を軽減するために使用する装具費については,必要かつ相当な範囲で認められています。

 義歯,義足,義手,車椅子,松葉杖,介護ベッド,眼鏡(コンタクトレンズ),盲導犬代など,過去の裁判例で認められた装具費は事案によって様々です。

装具費の単価

 同じ種類の介護用品であっても,高級なものや多機能なものがあります。

 高級品や多機能品では,将来分の買換え費用も含めた損害額も高額になり,高級品等を用いる必要性や,価額の相当性が問題となることがあります。

 必要性や相当性の判断については,その指標や基準が確立しているとはいいがたく,メーカーによってかなりの価格幅があるほか,同じメーカーであっても購入先によって必ずしも価格が同一でないことから,相当な額を適切に認定することは容易ではないとの指摘があります(日弁連交通事故相談センター「交通事故損害額算定基準」(通称「青本」)26訂版54頁)。

耐用年数の立証

 耐用年数の立証方法には,装具メーカーのパンフレット,カタログ,マニュアル等が考えられますが,主治医や装具メーカーの意見書等や,厚生労働省や各自治体が公表している耐用年数に関する資料も有力な証拠となります。

 そのほかには,税法上の減価償却期間に関する資料が参考にされることがあります。

 裁判例では,一般に,車椅子の耐用年数が4~5年,介護用ベットの耐用年数が8~10年程度で認定されているとの指摘があります(佐久間邦夫=八木洋一編「リーガル・プログレッシブ・シリーズ5 交通損害関係訴訟[補訂版](青林書院2013年)」199頁)。

将来の装具買換費用

 実際に支払った費用のほか,相当期間で交換の必要があるものについては,将来の買換費用も原則として損害と認められています。

 将来分については,中間利息を控除して一時金として支払われるのが一般的です。

 具体的な計算方法を挙げると,以下の通りとなります。

(計算例)

 杖を1回につき3,000円,平均余命25年にわたり,症状固定時に1個目を購入すると仮定し,その後1.5年ごとに16回交換が必要な場合,1.5年ごとに3,000円の損害が生ずるものとして,年5%の中間利息をライプニッツ式によって控除します。


3,000×(1(1個目,症状固定時)+0.9294(2個目,1.5年後)+0.8638(3個目,3年後)+0.8028(4個目,4.5年後)+0.7462(5個目,6年後)+0.6935(6個目,7.5年後)+0.6446(7個目,9年後)+0.5991(8個目,10.5年後)+0.5568(9個目,12年後)+0.5175(10個目,13.5年後)+0.481(11個目,15年後)+0.447(12個目,16.5年後)+0.4155(13個目,18年後)+0.3861(14個目,19.5年後)+0.3589(15個目,21年後)+0.3336(16個目,22.5年後)0.31(17個目,24年後)))=30,257


 参照するライプニッツ係数については,耐用年数が整数倍であれば,日弁連交通事故相談センター「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)の上巻末尾に掲載されている「ライプニッツ係数およびホフマン係数表(原価表)」を見れば簡単にわかりますが,上記計算例のように耐用年数が1.5年など,原価表に掲載されていない係数を用いる場合は,自分で係数を算出する必要があります。

 たかつき法律事務所コラム「装具買換代の計算方法及びEXCELで作成したツールの紹介」でライプニッツ係数を計算するツールを公開していますので,参考にしていただければと思います。

公的給付や扶助がある場合

 車椅子などの購入に際して公的給付や扶助を受ける場合がありますが,既に支給を受けるか,支給が確定している分を除いて,将来分については,控除されない扱いとなっています(前掲交通損害関係訴訟[補訂版]199頁)。

 例えば,福岡地判平成25年7月4日判例時報2229号41頁では,「社会情勢、予算状況等により、将来も同様な公共扶助を確定的に受けられるとは認められない」と判断されています。

 公的給付・扶助の控除の問題については,「Q介護保険給付は賠償金から差し引かれるのでしょうか?」でも解説しています。

福岡地判平成25年7月4日判例時報2229号41頁


(エ) なお、《証拠略》によれば、平成二二年度(同年四月に原告太郎が小学校に入学した。)以降、浦安市の公的扶助により原告太郎の負担なしで車椅子を購入できていることが認められるところ、これは、厚生労働省の補装具費支給制度に基づくものと解されるが、社会情勢、予算状況等により、将来も同様な公共扶助を確定的に受けられるとは認められないから、公的扶助を理由に請求を認めないことはできない。ただし、現に公的扶助を受けている分については、原告太郎も請求していないところであり、本件口頭弁論終結日(平成二五年四月二六日)の属する平成二五年度までは公的扶助を受けているものと推認されるから、原告太郎の請求は、平成二六年度以降の分(将来請求分)のみを認める。


関連項目

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