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疼痛障害で症状固定後から平均余命までの将来治療費が認定された事例

2019.05.19

大阪地判平成27年7月31日交通事故民事裁判例集48巻4号933頁

争点

 後遺障害併合11級(12級13号「会陰部疼痛」,12級7号「股関節機能障害」)の認定を受けた被害者が,症状固定後も疼痛治療のため通院していることから,症状固定後の治療費が損害として認められるかが争点となりました。

判決文抜粋


上記(1)ク及びコの事実によれば,原告は,会陰部の疼痛に対し,症状固定後も3か月に1回受診した上,パーセリンの投与を受けており,今後もこれを必要とすること,これは本件事故による負傷を原因とするものであることが認められる。また,証拠(甲40)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,パーセリンの処方を受けるために1回当たり少なくとも5370円の診察料及び薬剤費を要することが認められ,年間2万1480円となる。原告は,症状固定時の平成24年2月28日に34歳であったから,症状固定時を基準とした平均余命は46年余りであり,原告は,同期間にわたり,将来の治療費として中間利息をライプニッツ式により控除した38万4064円を要すると認められる〔計算式:2万1480円×17.8801〕。


解説

 症状固定後の治療費は原則として損害とは認められていません。

 症状固定状態が,これ以上治療しても改善しない状況を意味するため,症状固定後に治療しても無駄な費用の支出であって,加害者に負担させることが相当でないというのがその根拠として挙げられます。

 しかし,例外的に,症状の内容・程度,治療の内容により,症状の悪化を防ぐなどの必要があれば損害として認められています。

 また,治療費の枠組みの中で,症状固定後の治療費も認定されるというよりもむしろ,「将来治療費」という別の項目で損害が認定されています。

 具体的には,以下のような場合に認めらていると指摘されています(佐久間邦夫=八木一洋編『交通事故関係訴訟[補訂版]』191頁~192頁(青林書院2013年7月31日))。

①植物状態(遷延性意識障害)になったとき等で生命を維持するうえで将来治療費を支払う必要性・相当性が認められる場合

②治療によって症状の悪化を防止する必要性が認められる場合

③症状固定後も強い身体的苦痛が残り,苦痛を軽減するために治療の必要性が認められる場合

 

 本件は,③の場合に当てはまりますが,一般に重度後遺障害が残った場合には認められやすい一方,痛みなどの神経症状を軽減するための通院費用については否定されることが多く,本判決は,疼痛障害で将来治療費が認められた数少ない事例の一つとして参考になると思われます。

関連項目

 

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