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動物の保管料が損害として認められた事例

2019.06.16

大阪地判平成20年9月8日交通事故民事裁判例集41巻5号1210頁

争点

 事故被害者の入院によって世話ができなくなったペットの保管料及びペットを手放したことによる損害が争点となりました。

判決文抜粋


(原告の主張)

キ ペットの預かり費用 32万円
 原告は,平成12年1月15日にミニチュアダックスフンド(以下「本件飼犬」という。)をペットとして18万8000円で購入したが,約1か月後に本件事故に遭った。◯は,本件事故から約1か月は,子どもら(当時8歳,4歳,3歳)を原告の両親宅等に預けて泊まり込みで原告を看病し,その後もとても犬の世話までできない状態であったため,本件飼犬をペットホテルに預けていた。しかしながら,原告の入院がいつまで続くかわからず,本件飼犬の預かり費用がかさむようになったため,原告らは,平成12年6月20日に本件飼犬を上記ペットホテルに無償で引き取ってもらった。
 本件飼犬の預かり費用は,32万円である。
ク ペットの購入費用 18万8000円
 上記のとおり,原告は,本件飼犬を無償で手放さざるを得なくなった。

第3 当裁判所の判断

キ ペット預かり費用・同購入費用 32万円
 前記前提事実及び認定事実に加え,証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件事故当時,◯並びに8歳,4歳及び3歳の3人の娘の5人家族で生活していたこと,原告は平成12年1月15日に本件飼犬(ミニチュアダックスフンド)を購入したこと,本件事故後から平成12年6月20日ころまで128日間本件飼犬を「△△」というペットホテル業者に預け,預かり費用として32万円を支払ったことが認められる。
 これらの事実によれば,原告及びその家族は,本件事故により本件飼犬を業者に一定期間預けることを余儀なくされたということができ,原告の入院経過,家族構成,更に本件飼犬をどうするか検討を要したであろうことなどを考慮すると,上記預かり期間は相当なものと認められる。したがって,原告が現に支払った上記預かり費用32万円は,本件事故による損害とみることが相当である。
 しかしながら,購入後まもなくして原告が本件事故に遭ったことを考慮しても,本件飼犬を購入したことそれ自体が本件事故による損害であるとはいえない。また,本件飼犬を手放すかどうか,手放すとしてどのように譲渡するのか等の事項は,原告ら家族の判断によるものであり,上記のとおり約半年間にわたる預かり期間があったことなども考慮すれば,原告が最終的に本件飼犬を無償で手放したとしても,本件飼犬の購入費用相当額を本件事故と相当因果関係がある損害であると評価することはできない。


解説

 被害者入院のため,飼い犬を128日間ペットホテル業者に預けた費用及び入院がいつまで続くかわからず,本件飼い犬の預かり費用がかさむようになったため,購入後まもなくして事故に遭って飼い犬を無償で手放すことになったことによる損害が争点となりました。

 本件では,入院経過,家族構成,飼犬をどうするか検討を要したであろうことなどを考慮し,128日の預かり期間は相当なものと認められるとして預かり費用32万円が損害として認められました。

 このように,被害者が受傷したことによって,ペットなどの世話ができなくなった場合,ペットホテル業者等に預けることがありますが,相当な範囲であればその費用が損害として認められています。

 本件と異なり,相当額を超えているとして,愛犬2頭14ヶ月の預け費用132万3,000円のうち,65万円のみが損害として認められた裁判例もあります(横浜地判平成6年6月6日交通事故民事裁判例集27巻3号744頁)

 一方,ペットを手放したことによる損害については,購入後まもなくして事故に遭ったことを考慮しても,飼い犬の購入それ自体が事故による損害とはいえないこと,件飼犬を手放すかどうか,手放すとしてどのように譲渡するのか等の事項は,被害者ら家族の判断によるもので,半年にもわたる預かり期間があったことなどを考慮して,飼い犬の購入費用相当額は事故と相当因果関係がある損害とは評価することができないと判断されています。

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