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事故当時に婚姻意思があり、事故後実際に婚姻した被害者について兼業主婦として基礎収入が認定された事例

2019.09.23

福岡地判平成29年10月17日自保ジャーナル2013号62頁

争点

 事故当時婚姻していないが,婚姻予定があり,事故後実際に婚姻した被害者について,兼業主婦として逸失利益の基礎収入が認められるかが争点となりました。

判決文抜粋


 

(ア) 基礎収入(年収額)について
 原告は,本件事故当時から◯(以下「◯」という。)と婚姻する意思を有し,具体的に婚姻の時期についても◯との間で話を進めており,かつ,その予定については両人の親族とも話していたというのであり,本件事故の治療を終えた平成26年9月頃からは同居を開始してその後に現実に婚姻したことからすれば,原告は,本件事故時において,近い時期には◯と婚姻する蓋然性があったというべきである。また,◯はフルタイムの営業職に従事しており,婚姻した現在では原告は◯及びその両親と4人で生活しているというのであるから,本件事故がなかったとすれば,訪問ヘルパーの職に従事しながらも家事にも従事し,いわゆる兼業主婦として稼働していたであろうと認められる。
 そして,賃金センサス平成25年女性全年齢平均賃金は353万9300円であり,原告のヘルパーとしての平成24年収入額224万7590円を上回るから,家事従事者として前者の金額(353万9300円)を基礎収入とみるのが相当である。


解説

 本件では事故当時介護ヘルパーとして事故前年に224万7,590円を得ていた女性の被害者について,婚姻意思があり,事故後実際に婚姻したことから,兼業主婦として女性全年齢平均賃金353万9,300円での逸失利益の基礎収入が認められるかが争点となりました。なお,休業損害については,介護ヘルパーの事故前3ヶ月の収入をもとに算定されています。

 本件のように実収入が女性全年齢平均賃金を下回る場合には,実収入を基礎収入とするよりも,兼業主婦として女性全年齢平均賃金を基礎収入として逸失利益を算定する方が被害者にとっては有利になります。

 本判決は,被害者に婚姻する意思があって具体的に婚姻の時期について話をすすめ,かつその予定について親族と話をし,事故の治療後から同居を開始して現実に婚姻したこと等から事故時において婚姻する蓋然性があると認定しました。そして,現実に婚姻した現在では,婚姻の相手方がフルタイムの職に従事していて,相手方の両親とともに暮らしていることから,事故がなければ兼業主婦として稼働していたと認定して女性全年齢平均賃金を基礎収入として逸失利益を認定しました。

 事故当時は未婚であったとしても,事故後婚姻するケースは珍しくありません。

 本判決は,そのような場合に主婦として基礎収入を認定した事例の一つとして参考になると思われます。

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