200万円もの高額の鑑定・測量費用が損害として認められた事例

東京地判八王子支部平成10年9月21日交通事故民事裁判例集31巻5号1430頁

争点

 交通事故高額の専門家等に鑑定を依頼して要した170万円及び測量費等65万円の計235万円が損害として認められるかが争点となりました。

判決文抜粋


  前記2掲記の各証拠によれば、原告らは、本件事故態様を解明するために事故状況を交通事故工学の専門家に、スリップ痕の位置特定を写真及び測量の専門家に、それぞれ鑑定を依頼する必要があったことが認められる。そして、原告◯本人尋問の結果によると、鑑定に要した費用として、△に対して一七〇万円、□及び◯◯測量事務所に対して六五万円の合計二三五万円を支払ったことが認められるところ、これらの費用のうち、二〇〇万円(原告らにつき各一〇〇万円)が本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。


解説

 後遺障害などの医学的な事項や事故態様を証明するために医師の意見書作成費用や交通事故工学の専門家の私的鑑定費用等が必要となることがあり,これらの費用についても,必要かつ相当な範囲で損害として認められています。

 本件では,事故原因の究明のため,235万円もの多額の鑑定費用等が必要となったところ,そのうちの200万円が事故と相当因果関係のある損害と認められました。

 本判決は,高額の鑑定費用等が損害として認められた先例として参考になると思われます。

 なお,医学的な事項については,医師の意見書作成費用として支出した50万円のうち30万円の限度で損害が認められた事例(東京地判平成17年2月15日交通事故民事裁判例集38巻1号219頁)などがあり,医師の意見書等の作成費用についても必要かつ相当な範囲で認められています。

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