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将来の盲導犬関係費用が損害として認められた事例

2019.08.13

東京地判昭和61年5月15日判例タイムズ620号149頁

争点

 将来の盲導犬関係費用が損害として認められるかが争点となりました。

判決文抜粋


第二 原告の請求原因

5 その他の損害

(三) 盲導犬関係費用
 原告は、日常生活遂行のため、昭和六〇年一月二六日から約一ケ月にわたり盲導犬使用の訓練を受け、その後盲導犬を杖として日常生活、通学を行つてきている。こんごとも原告が日常生活を営んでいくためには盲導犬の使用が必要不可欠であり、これに関連する費用は将来の介護費として認められるべきものである。
(1) 訓練費用 三万七二五〇円
(2) 経常的費用
 イ 盲導犬食費
 毎月ドッグフード五五〇〇円、生肉四八〇〇円合計一万〇三〇〇円を必要とする。
 ロ 盲導犬予防薬及び注射費
 盲導犬は年に一度狂犬病その他の予防接種及び予防薬の服用を義務づけられており、その費用は予防接種が一回五五〇〇円、予防薬は一回二万九八五〇円、年額合計三万五三五〇円、月額二九四六円となる。
 ハ 盲導犬医療費
 昭和六〇年九月初旬盲導犬の病気治療のため、一万七九〇〇円の支出を行つたが、こんごとも年に一度程度の病気は見込まなければならず、月額として一四九一円となる。
 二 盲導犬関係雑費
 盲導犬を使用するためには、盲導犬のための(1)寝所用マット、生活用敷物及びこれらの掃除用テープ、(2)衛生用のシャンプー・石けん・毛ブラシ・タオル、(3)排便処理用袋、(4)被服・雨具及びこれらの洗濯用洗剤・ハミング等が必要であるほか、かなりの上下水道料を要し、これら雑費の総額は月額一万七八八〇円となる。
 ホ 合計
 以上イないしニの合計は月額三万二六一七円となる。
(3) 経常的費用総額の現価額
  イ 年額
 32,617円×12=391,404円
  ロ 期間とライプニッツ係数
 昭和六〇年一月二六日の時点における原告の平均余命は四七・四三であり、これに対するライプニッツ係数は一八・〇二二三である。
  ハ 現価額の総額
 391,404円×18,0223=7,054,000円

第三 被告らの答弁及び主張

同5のその他の費用は、原告の療養のための費用ではないから、本件事故による相当損害とはいえない。

       理   由

(三) 盲導犬関係費用 五四四万七三五二円
 〈証拠〉を総合すると、原告は、昭和六〇年一月から約一ケ月間東京盲導犬協会に入所して訓練を受けた際その費用として三六五〇円を支払い、盲導犬の医療費として一万七九〇〇円を支出したほか(原告の食事代三万三六〇〇円は相当損害とは認められない。)、将来とも人並みの日常生活を送るためには盲導犬を借りて使用することが必要不可欠であるところ、一カ月に平均して盲導犬の食費として一万〇三〇〇円、狂犬病予防接種等の費用として二九四六円、その他の雑費として一万二〇〇〇円程度の支出を要するものと認められるところ(盲導犬の将来の医療費と水道料金については将来の支出額を確定する資料に乏しいため相当損害とは認められない。)、これらの将来の費用は原告の主張するように今後少なくとも平均余命数内の四七年間にわたつて支出するものと推認するのが相当であるから、一年間に要する費用三〇万一七五二円(2万5146円×12)に四七年のライプニッツ係数一七・九八一〇を乗じてその費用の現価を算出すると、次のとおり五四二万五八〇二円(一円未満切捨)となる。
 30万1752×17.980=542万5802円
 よつて、盲導犬関係の費用は、合計五四四万七三五二円と認めるのが相当である。


解説

 後遺障害によって失われた身体機能を補助し,生活上の困難を軽減するために使用する装具費については,必要かつ相当な範囲で認められています。

 本件は,両眼失明(後遺障害1級1号)の大学生について,「将来とも人並みの日常生活を送るためには盲導犬を借りて使用することが必要不可欠」だとして,平均余命47年間にわたり,将来の盲導犬関係費用542万5802円が認められました。

 他に公刊物に掲載された裁判例は見当たりませんが,車椅子や介護ベットなどの装具代と同様に,将来の盲導犬関係費用も損害として認められると考えられます。

 なお,車椅子等の装具費で定期的な購入費用が争点となっているのと異なり,盲導犬の購入費や貸与費用等が争点になっていないのは,盲導犬については日本盲導犬協会等の各団体で無償貸与が行われていることによります(公益財団法人日本盲導犬協会「盲導犬を希望する方からよくある質問Q&A 〇費用はかかるの?」)。

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