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改正民法の解説② 時効制度の改正

2019.03.14

 令和2年(2020年)4月1日に施行される改正民法で時効制度が改正されます。

 ここでは,交通事故事件に関連している,不法行為の時効制度の改正を紹介します。

短期消滅時効期間の特例(改正民法724条の2)及び長期消滅時効期間の導入(改正民法724条2号)について

 改正民法では,不法行為に基づく損害賠償請求権の短期消滅時効を原則3年としつつ,人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求の短期消滅時効5年としました。

 これにより,人損の損害賠償請求権の時効期間については,3年から5年に伸びたことになります。一方,物損事故については,現行民法と同じ3年で変更はありません。

 また,改正民法では,不法行為のとき(事故時)から20年で時効により消滅することになることが明記されました。従来は判例法理により除斥期間と考えられていましたが,改正により,現行民法でいう時効の中断・停止といった制度が適用されるようになるほか,信義則,権利濫用といった時効に関する理論の適用も期待できるようになります。

協議による時効の完成猶予制度(改正民法151条1項)の導入について

 改正民法では,時効の中断にあたる制度が時効の更新に,時効の停止にあたる制度が時効の完成猶予という形に制度が整理されています。

 このうち,新たに導入された協議による時効の完成猶予制度について紹介します。

 権利について協議を行う旨の合意を書面で行うことで,合意があったときから1年間は時効の完成を猶予することができ,さらに最長で5年まで合意を更新できます。

 現行法下では,協議やADR手続き中でも消滅時効が進行するため,消滅時効の完成を回避するための便宜として訴訟等を提起することが必要な場合がありました。

 このような場合,改正民法施行後は,時効完成を回避するために時効の完成猶予に関する合意書面を作成することが考えられます。

経過措置について

 債権もしくは法律行為が改正民法施行前に生じた場合については現行民法が適用されますが(施行附則10条4項),人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求については,改正民法施行時において消滅時効が完成していない場合には,改正民法が適用される経過措置が取られており(施行附則35条2項),その結果,時効期間が3年から5年に延長される場合があります。

 一例としてあげますと,平成29年(2017年)6月1日昼の事故で8月1日に治癒又は症状固定した場合(傷害による損害の時効の起算点は,治癒日又は症状固定日です),現行民法によると令和2年(2020年)8月1日が経過すると傷害による損害について消滅時効が完成します。

 ここで時効の起算点についても少し触れておきます。判例(最三判昭57年10月19日民集36巻10号2163頁)は,「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知つた時から進行するが,右の時効期間の計算についても,同法一三八条により同法一四〇条の適用があるから,損害及び加害者を知つた時が午前零時でない限り,時効期間の初日はこれを算入すべきものではない。」としています。初日から算入する遅延損害金とは扱いが異なることに注意が必要です。

 上記事例では,改正民法施行日の令和2年(2020年)4月1日の時点で傷害による損害の消滅時効が完成していないため,経過措置により改正民法の規定が適用されます。

 その結果,物損については令和2年(2020年)6月1日が経過すると消滅時効が完成するものの,人損については期間が延長され,令和4年(2022年)8月1日が経過するまで消滅時効が完成しないことになります。

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