物件事故報告書はどのように入手するのでしょうか?

物件事故報告書とは?

 単なる物損事故は刑事事件にならないため,原則的に現場見分が省略され,実況見分調書も作成されない扱いとなっています。

 そして,物損事故の際は,警察によって物件事故報告書という簡易な報告書が作成されています。

 物件事故報告書の記載内容については,石川県警の物件事故処理要領によれば,「事故状況欄に衝突地点及び事故概要をメモ程度に簡記する」程度になります。

 ただし,同処理要領には「物件事故から人身事故への切り替え、交通事故をめぐる保険金詐欺事件等に対応するため、必要により、現場見分省略、非省略を問わず関係者の言動等を事故状況欄に記録しておくこと」と定められており,事件によっては事故状況欄にある程度の情報が記載されていることもあるようです。

 物件事故報告書の「略図」は,測量などを行わずに担当警察官が手書きで作成したもので,実況見分調書とは異なり,事故車両の進路,最初に相手を発見した地点,ブレーキを踏んだ地点,相手と接触した地点,危険を感じた地点,ハンドルを切った地点などの細かい情報は記載されていません。

 そのため,物件事故報告書を入手しても,過失割合を争うための材料にはならないことの方が多いのですが,事故時に車両が停止していたかどうか程度は記載されているため,過失が争われている状況によっては,入手した方が良いこともあります。

物件事故報告書の入手方法

 一般的には,民事訴訟の文書送付嘱託や,弁護士会照会によらなければ入手できない運用を取っている警察署が多いと思われます。

 ただし,弁護士会照会において入手が可能なのは,物件事故報告書の「略図」欄で,「事故状況」欄は黒塗りの状態です。

 また,文書送付嘱託によっても,当事者からの聞き取り内容を記録したメモ等は開示しない運用が取られているようです。

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