ペットの預かり費用
被害者が受傷したことによって,ペットなどの世話ができなくなった場合,ペットホテル業者等他人に預けることがありますが,必要かつ相当な範囲であればその費用が損害として認められています。
大阪地判平成20年9月8日交民41巻5号1210頁では,入院経過,家族構成,飼犬をどうするか検討を要したであろうことなどを考慮し,128日の預かり期間は相当なものと認められるとして預かり費用32万円が損害として認められました。
実際に支出した額全部が損害として認められるとは限りませんので,預かり費用が高額になる場合については注意が必要です。
例えば,横浜地判平成6年6月6日交民27巻3号744頁では,犬の世話が全くできなかったと認めるべき事情等はないとして,愛犬2頭の預かり費用132万3000円のうち,約半分の65万円に限って損害として認められています。
大阪地判平成20年9月8日交民41巻5号1210頁
前記前提事実及び認定事実に加え、証拠(甲15の1・2、甲16、26、甲A2)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件事故当時、◯並びに8歳、4歳及び3歳の3人の娘の5人家族で生活していたこと、原告は平成12年1月15日に本件飼犬(ミニチュアダックスフンド)を購入したこと、本件事故後から平成12年6月20日ころまで128日間本件飼犬を「△」というペットホテル業者に預け、預かり費用として32万円を支払ったことが認められる。
これらの事実によれば、原告及びその家族は、本件事故により本件飼犬を業者に一定期間預けることを余儀なくされたということができ、原告の入院経過、家族構成、更に本件飼犬をどうするか検討を要したであろうことなどを考慮すると、上記預かり期間は相当なものと認められる。したがって、原告が現に支払った上記預かり費用32万円は、本件事故による損害とみることが相当である。
横浜地判平成6年6月6日交民27巻3号744頁
弁論の全趣旨により成立を認める甲第一一号証の一ないし六、原告◯本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、本件事故当時原告宅では二匹の犬を飼つており、原告の入院に伴い、昭和六三年一〇月九日までこれを△に預託し、その費用として合計一三二万三〇〇〇円を支払つたことが認められる。しかし、後記認定のように原告は夫の原告◯と生活を共にしていたものであるところ、原告でなければ犬の世話が全くできなかつたと認めるべき事情も、原告◯が原告の入院期間中常に原告に付き添うなどして犬の世話を全くできない状態にあつたとまで認めるべき事情も存しないから、右金額の約半分である六五万円の限度で本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

