税金分は賠償金から差し引かれるのでしょうか?

損害賠償金は原則非課税

 交通事故について,治療費,慰謝料などの損害賠償金を受け取ったときは非課税となります。
 ただし,各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填するための金額が含まれている場合には,当該部分は課税対象となります。

(参考)国税庁「No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき

 このため,事故に遭わずに収入を得ていれば課税されて税金分については手元に残らないのに対して,損害賠償金であれば非課税になるため,収入が逸失利益に転化することにより被害者が税金分を不当に利得することになるとの指摘がありました。

税金分は控除されない

 この点について,判例(最二小判昭和45年7月24日民集24巻7号1177頁)は,「税法上損害賠償金が非課税所得とされているからといつて、損害額の算定にあたり租税額を控除すべきものと解するのは相当でない」として,損害額からの控除を否定しました。

 したがって,税金分は逸失利益(賠償金)から控除されないことになります。

最二小判昭和45年7月24日民集24巻7号1177頁


被上告人が本件事故による負傷のためたばこ小売業を廃業するのやむなきに至り、右営業上得べかりし利益を喪失したことによつて被つた損害額を算定するにあたつて、営業収益に対して課せられるべき所得税その他の租税額を控除すべきではないとした原審の判断は正当であり、税法上損害賠償金が非課税所得とされているからといつて、損害額の算定にあたり租税額を控除すべきものと解するのは相当でない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。


 

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