神経伝達速度検査とはどのようなものですか?

電気生理学的検査

 神経伝達速度検査(Nerve Conduction Velocity test:NCV test)とは,末梢神経の神経障害の程度,障害部位,その範囲等を調べるための,電気生理学的検査のうちの一つです。

神経伝達速度検査

 同一神経の2点を電気刺激して反応電位の波形の時間差を測定することで,神経の伝達速度を見る検査です。

 神経伝達速度検査には,運動神経伝導速度(MCV)と感覚神経伝導速度(SCV)の検査があります。

 抹消神経に異常がある場合,伝達速度の遅延が生じます。

 針筋電図検査とは異なって針を刺す痛みを伴わないため,医師だけでなく臨床工学技士も検査をすることができ,針筋電図検査よりも広く利用されている検査となっています。

 針筋電図検査が行われていない病院でも,神経伝達速度検査であれば受けることが可能な場合があります。

後遺障害等級認定との関係

関節可動域制限

 末梢神経損傷による神経麻痺等があるために,関節可動域について他動値と自動値に差が生ずる場合があります。

 可動域制限の後遺障害の等級認定においては,被検査者の意思によって検査結果が左右されない他動値によって等級認定が行われるのが原則です。

 一方,自動値によって等級認定が行われる場合について,自賠責は労災基準を参照していますが,「他動運動による測定値を採用することが適切でないものとは,例えば,末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となり,他動では関節が可動するが,自動では可動できない場合,関節を可動させるとがまんできない程度の痛みが生じるために自動では可動できないと医学的に判断される場合等をいう」とされています。

 自賠責の後遺障害の等級認定で他動値によって評価された場合,等級認定票には「神経麻痺等の所見に乏しいことから他動値により等級評価を行うこととなり」と記載されるのが一般的です。

 そこで,自動値によって等級認定を受けるために,末梢神経損傷による神経麻痺の存在等を他覚的所見によって証明する必要が生じてきます。

 このような場合に,神経麻痺を引き起こす末梢神経損傷の他覚的所見を得る方法として,神経伝達速度検査を受けることが考えられます。

むち打ち損傷

 また,むち打ち損傷において抹消神経損傷の存在を裏付ける他覚所見の一つとなります。

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