外貌醜状で後遺障害等級が認定されたのですが、逸失利益は認められるのでしょうか?

外貌醜状の後遺障害

 頭部、顔面部、頸部のような、上肢及び下肢以外の日常露出する部分を「外貌」といい、自賠責の後遺障害別等級表には、以下の等級及び後遺障害が記載されています。

 旧基準では、男子と女子の外貌醜状の等級認定に差がありましたが、京都地裁平成22年5月27日判例時報2093号72頁が、労災における外貌の醜状障害に関する後遺障害等級表の男女間における差別的取扱いが著しく不合理で憲法14条1項に違反すると判断したことなどを受け、労災が外貌醜状に関する等級認定を男女同じとする改訂を行い、自賠法施行令の後遺障害別等級表も改訂されました。

京都地判平成22年5月27日判例時報2093号72頁


本件差別的取扱いの程度は、男女の性別によって著しい外ぼうの醜状障害について5級の差があり、給付については、女性であれば1年につき給付基礎日額の131日分の障害補償年金が支給されるのに対し、男性では給付基礎日額の156日分の障害補償一時金しか支給されないという差がある。これに関連して、障害等級表では、年齢、職種、利き腕、知識、経験等の職業能力的条件について、障害の程度を決定する要素となっていないところ(認定基準。乙3)、性別というものが上記の職業能力的条件と質的に大きく異なるものとはいい難く、現に、外ぼうの点以外では、両側の睾丸を失ったもの(第7級の13)以外には性別による差が定められていない。そうすると、著しい外ぼうの醜状障害についてだけ、男女の性別によって上記のように大きな差が設けられていることの不合理さは著しいものというほかない。また、そもそも統計的数値に基づく就労実態の差異のみで男女の差別的取扱いの合理性を十分に説明しきれるか自体根拠が弱いところであるうえ、前記社会通念の根拠も必ずしも明確ではないものである。その他、本件全証拠や弁論の全趣旨を省みても、上記の大きな差をいささかでも合理的に説明できる根拠は見当たらず、結局、本件差別的取扱いの程度については、上記策定理由との関連で著しく不合理なものであるといわざるを得ない。
(4) 小括
以上によれば、本件では、本件差別的取扱いの合憲性、すなわち、差別的取扱いの程度の合理性、厚生労働大臣の裁量権行使の合理性は、立証されていないから、前記(2)ウのように裁量権の範囲が比較的広範であることを前提としても、なお、障害等級表の本件差別的取扱いを定める部分は、合理的理由なく性別による差別的取扱いをするものとして、憲法14条1項に違反するものと判断せざるを得ない。


平成22年6月9日までに発生した事故に適用する表

後遺障害
7級12号 女子の外貌に著しい醜状を残すもの
12級14号 男子の外貌に著しい醜状を残すもの
12級15号 女子の外貌に醜状を残すもの
14級10号 男子の外貌に醜状を残すもの

平成22年6月10日以降発生した事故に適用する表

後遺障害
7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号 外貌に醜状を残すもの

上肢や下肢の醜状障害

 外貌以外の上肢や下肢の醜状障害についても、以下の後遺障害が認められています。

 後遺障害等級表に記載がない後遺障害についても、程度に応じて各等級に「相当」するものとして等級が認定されています。

後遺障害
12級相当 上肢または下肢の露出面に、2分の1程度以上の醜いあとを残すもの
14級4号 上肢の露出面に、てのひらの大きさの醜いあとを残すもの
14級5号 下肢の露出面に、てのひらの大きさの醜いあとを残すもの

外貌醜状による労働能力の喪失

 外貌醜状は,加害者(保険会社)から労働能力喪失が争われやすい後遺障害の一つです。

 外貌醜状の後遺障害が認定された場合、労働能力に影響しないとして、加害者側の保険会社は逸失利益を否定してくる傾向にあります。

 裁判実務でも、等級表より低い喪失率が認定されたり、労働能力喪失が否定されるケースが少なくないように思われます。

 この争点についての過去の裁判例を見ると、醜状障害の具体的な内容・程度、被害者の性別、年齢、職業等を考慮した上で、以下のような取扱いを行っている傾向が見られます。

①醜状痕の存在のために配置転換を受けたり、職業選択の幅が狭められたりするなど労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれがある場合には一定割合の労働能力喪失を肯定して逸失利益を認める。

②労働能力への直接的な影響は認めがたいが、対人関係や対外的な活動に消極的になるなどの形で、間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれがある場合には、概ね100万~200万程度の額で慰謝料増額事由として考慮する。

③直接的にも間接的にも労働能力に影響を与えないと考えられる場合には、慰謝料も基準どおりとして増額しない。

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