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香典や見舞金は賠償金から差し引かれるのでしょうか?

2019.05.24

香典や見舞金と損益相殺

 加害者が支払った香典や見舞金については,加害者と被害者という関係を控除しても明らかに高額である場合を除き,損害額からの控除は行わないものと考えられています(日弁連交通事故相談センター「交通事故損害額算定基準」(通称「青本」)26訂版217頁)。

 香典については,日弁連交通事故相談センター「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)にも「香典については損益相殺を行わ」ない旨が明記されています。

 また,大阪地裁では,香典は損害を填補する性質を有しないから控除の対象とならないとし,見舞金については損害の填補とならないのが原則だが多額のものは損害の填補と解されるので控除の対象となるとされています(大阪地裁民事交通訴訟委員会「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準(第3版)」96頁。交通事故損害賠償額算定のしおり(通称「緑のしおり」)の該当部分の注④でも,香典については損害から差し引かないことが明記されています)。

 裁判例を概観しますと,大阪地判平成5年2月22日交通事故民事裁判例集26巻1号233頁は,30万円の見舞金と30万円の香典が支払われた事例ですが,見舞金は関係者の被害感情を軽減するために支払われたとするには高額であるとして損益相殺の対象とし,香典については社会儀礼上被害感情を軽減するために支払われたものだとして損益相殺の対象としませんでした。

 他の事例としては,100万円の香典のうち,相当性を超える70万円について損害の填補を認めた裁判例(大阪地判平成6年8月26日交通事故民事裁判例集27巻6号1907頁)や,香典として支払われた100万円について損害の填補を否定した裁判例(東京地判平成7年7月26日交通事故民事裁判例集28巻4号1101頁)などがあります。

 香典や見舞金は,社交上の儀礼として相当な金額の範囲であれば損害額から控除しないものと考えられていますが,具体的にどこまでが社交上の儀礼の範囲であるかについてはかなりの幅があります。

 とはいえ,全体的には,見舞金は損害額から控除されやすく,香典は損害額から控除されない傾向があるように思います。

 なお,同じ加害者が支払った金銭でも,治療費,交通費,葬儀費などの名目で支払われている等,賠償金としての支払いであることが明らかである場合には,当然のことですが,債務の弁済として賠償額から控除されます。

大阪地判平成5年2月22日交通事故民事裁判例集26巻1号233頁


 5 損益相殺(主張額二三二二万三四〇〇円) 各一一四六万一七〇〇円

 また、原告らが被告又は被告の雇主が平成元年二月上旬頃見舞金として合計三〇万円を、また、同年二月二二日香典として合計三〇万円を支払った事実については、当事者間に争いがない。そのうち、見舞金については、関係者の被害感情をいささかでも軽減するために支払われたものとするにはやや高額であり、損害填補の趣旨を含まないとすることは困難であり、損益相殺の対象とするべきであるが、香典については、その金額などからしても、社会儀礼上、関係者の被害感情をいささかでも軽減するために支払われたものと解され、前記損害を填補する性質を有するとはいいがたく、原告らの前記損害から控除することはできない。


 

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