無職の場合でも逸失利益は認められるでしょうか?

無職の場合の逸失利益とは

 無職と言っても、未就労の若者や高齢者など、様々な態様がありますが、ここでは失業中、休職中で無職の方について説明します。

 失業中で無職の場合、今の収入がないことから逸失利益は認められないように思われるかもしれませんが、無職の方でも、労働能力と労働意欲があり、就労することの蓋然性があれば、逸失利益は認められます。無職の方の逸失利益は、以下のように算定されます。

【無職者の逸失利益】
=【基礎収入※】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数】

※原則:失業前の収入を参考に基礎収入を計算する。
例外:失業前の収入額が賃金センサスの平均賃金額を下回る場合で、将来平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば平均賃金額を基礎収入とする。

無職の場合の基礎収入

 交通事故の被害者が無職(失業中)の場合でも、労働能力と労働意欲があり、就労の可能性がある場合には、原則として失業前の収入を参考に基礎収入を計算します。但し、失業前の収入額が賃金センサスの平均賃金額を下回っているようなケースでは、将来平均賃金程度の収入を得られるという蓋然性があれば、賃金センサスの平均賃金額が基礎収入となります。しかし、将来的に平均賃金程度の収入を得られる蓋然性がない場合には、平均賃金から一定額を減額した金額が基礎収入となります。
 つまり、無職者の基礎収入については、以下のような3つの考え方があります。

  • 原則として失業前の収入を参考に算定(労働能力・労働意欲・就労可能性がある場合)。
  • 失業前の収入が平均賃金より低く、将来平均賃金程度の収入が得られる蓋然性があれば平均賃金。
  • 将来平均賃金程度の収入が得られる蓋然性がない場合は平均賃金から減額する。

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