神経学的検査
むち打ち損傷の神経症状を医学的に証明ないし説明する手段として,神経学的検査が行われています。
徒手筋力検査とは,神経根障害を調べるための神経学的検査の一つです。
徒手筋力検査
神経に障害があると,その神経の支配領域である筋の筋力が低下します。この筋力の低下具合を調べるのが徒手筋力検査です。
検査結果は以下の6レベルで区別され,正常な場合が「5」となります。
後遺障害診断書には,徒手筋力検査の英語表記「manual muscle testing」の頭文字を取って,「MMT 3level」などと記載されることがあります。
5 normal | 強い抵抗を加えても運動域全体にわたって動かすことができる |
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4 good | 抵抗を加えても運動域全体にわたって動かすことができる |
3 fair | 抵抗を加えなければ重力に抗して運動域全体にわたって動かすことができる |
2 poor | 重力を除去すれば運動域全体にわたって動かすことができる |
1 trance | 筋の収縮がわずかに認められるだけで関節運動は起こらない |
0 zero | 筋の収縮は認められない |
手・腕の各部位に対応する頸髄神経(C5~C8)は以下のとおりです。
三角筋 | C5,C6 |
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上腕二頭筋 | C5,C6 |
上腕三頭筋 | C6,C7,C8 |
手関節伸展筋 | C6,C7,C8 |
小指外転筋 | C8 |
後遺障害等級認定との関係
徒手筋力検査は,それ単体では客観性が低いという問題があります。
なぜなら,患者の意思で検査結果を操作することも可能であるからです。
そのため,後遺障害等級認定においては,あまり重要視されている検査ではありません。