修理する予定がなくても、修理費用は請求できるのでしょうか?

修理予定がない場合の修理費用相当額の請求

 事故車両の修理をせず,今後修理の予定もないような場合に,保険会社が,修理がされていないことを理由として修理費の支払を拒むケースが見られます。

 しかし,損害の評価としては,交通事故により,修理費用を支出して修理をしなければ回復しない損害を受けたと考えることができます。

 事故で現実に車両が損傷を受けている以上,既に損害が発生しているというべきです。修理を行って費用を支出した時点で初めて修理費の損害が発生するというわけではありません。

 したがって,事故時における車両の損害として考えると,修理が未了であったり,今後修理を予定しているかどうかは関係がないということになります。

 大阪地判平成10年2月24日自保ジャーナル1261号2頁では,修理が未了で今後も修理する可能性がなくても,車両の損害は既に発生しているとして,修理費相当額の損害が認められています。

 このように,修理未了であったり,修理予定がなくても,修理費用相当額を請求することができます。

大阪地判平成10年2月24日自保ジャーナル1261号2頁


(四) 車両損害 六万一五〇〇円
 甲第六号証、検甲第一ないし第三号証、第六号証、第八号証、第二三ないし第二五号証及び弁論の全趣旨によれば、本件事故により原告所有の原告車両が損傷し、そのため、原告は、修理費用として六万一五〇〇円の損害を受けたものと認められる。

 被告らは、原告車両は現在においても修理がされておらず、今後も修理する可能性はないから、損害賠償の対象とすべきでないと主張するが、原告車両が本件事故によって現実に損傷を受けているものである以上、これによる損害は既に発生しているものというべきであり、右主張は採用できない。


 

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