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物損で慰謝料を請求できるのはどのような場合でしょうか?

2019.09.04

物損に関する慰謝料

 物損事故における損害については,修理費用等の財産的損害が填補されれば損害が回復すると考えられているため,原則として物損に関する慰謝料は認められていません。

 東京地判平成元年3月24日交通事故民事裁判例集22巻2号420頁は,財産的損害を侵害された場合に慰謝料を請求するためには,「目的物が被害者にとって特別の愛着をいだかせるようなものである場合や、加害行為が害意を伴うなど相手方に精神的打撃を与えるような仕方でなされた場合など、被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情が存することが必要」だと判断しています。

 同判決では,メルセデス・ベンツの車両損害に関する慰謝料請求が失当だとして退けられています。

 これまで物損に関する慰謝料が認められた具体的事例としては,自動車による墓石の損傷事故や家屋へ自動車の飛び込み事故,事故でペットが死亡ないし死亡にも匹敵する重い傷害をおった場合などが挙げられます。

東京地判平成元年3月24日交通事故民事裁判例集22巻2号420頁


 (一) 慰藉料 認められない。
 不法行為によって財産的権利を侵害された場合であっても、財産以外に別途に賠償に値する精神上の損害を被害者が受けたときには、加害者は被害者に対し慰藉料支払の義務を負うものと解すべきであるが、通常は、被害者が財産的損害の填補を受けることによって、財産権侵害に伴う精神的損害も同時に填補されるものといえるのであって、財産的権利を侵害された場合に慰藉料を請求しうるには、目的物が被害者にとって特別の愛着をいだかせるようなものである場合や、加害行為が害意を伴うなど相手方に精神的打撃を与えるような仕方でなされた場合など、被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情が存することが必要であるというべきである。これを本件についてみるに、原告◯本人尋問の結果によれば、原告◯は原告車を仕事に使用していたものであるが、前記修理の期間中(約一か月間)はタクシーを利用して仕事をせざるをえなかったことが認められるものの、原告◯に前記特段の事情が存したことを認めるに足りる証拠はなく、右による原告◯の精神的苦痛は財産的損害の賠償とは別に慰藉料を認めるべき程度には至らないものというべきであるから、原告◯の慰藉料請求は失当といわざるをえない。


自動車による墓石の損傷事故

 大阪地判平成12年10月12日自保ジャーナル1406号4頁は,物損に関する慰謝料は原則認められないととしつつも,通常人においても財産的損害が填補されることのみによっては回復されない程度の精神的苦痛を生じるものと認められる場合には,財産的損害以外に慰謝料請求も認めることができるとして,墓石が倒壊して骨壷まで露出した事故について慰謝料10万円を認めました。

大阪地判平成12年10月12日自保ジャーナル1406号4頁


(2) 慰謝料(20万円) 10万円
 物損事故における損害については、修理費用等の財産的損害が填補されることによって損害の回復が果たされるのが通常であるから、原則として、物を損壊されたことにより被った精神的苦痛に対する慰謝料請求は認められないというべきであるが、通常人においても財産的損害が填補されることのみによっては回復されない程度の精神的苦痛を生じるものと認められる場合には、財産的損害以外に精神的苦痛に対する慰謝料請求も認めることができるというべきである。本件においては、本件墓石等の上に本件レンタカーが乗り上げ、墓石が倒壊した結果、埋設されていた骨壺が露出される状態になったことが認められるところ、一般に、墓地、墓石等は、先祖や故人が眠る場所として、通常その所有者にとって、強い敬愛追慕の念を抱く対象となるものということができるから、侵害された物及び場所のそのような特殊性に鑑みれば、これを侵害されたことにより被った精神的苦痛に対する慰謝料も損害賠償の対象になるものと解するのが相当である。上記慰謝料の額としては、10万円をもって相当な額と認める。


家屋への自動車の飛び込み事故

 家屋への飛び込み事故については,生命の危険,家庭の平穏への侵害,生活上の不便などを理由に慰謝料が認められた事例があります。

 大阪地判平成15年7月30日 交通事故民事裁判例集36巻4号1008頁では,普通自動車が玄関を損傷した事故において,年末年始を含む1ヶ月以上にわたって玄関にベニヤを打ち付けた状態で過ごすことを余儀なくされて生活上及び家業上の不便を被ったとして慰謝料20万円が認められています。

(その他の裁判例)

  • まかり間違えれば生命の危険もあった上,家庭の平穏を侵害されたことによる有形・無形の損害は財産的損害の填補のみによっては償いきれないとして,慰謝料30万円が認められた事例(大阪地判平成元年4月14日 交通事故民事裁判例集22巻2号476頁)
  • 深夜に大型トラックが民家へ飛び込んで建物・庭が損傷した事故で慰謝料50万円が認められた事例(岡山地判平成8年9月19日交通事故民事裁判例集29巻5号1405頁)
  • 大型貨物自動車が家屋に衝突したことにより,約半年間のアパート生活を余儀なくされ,借財をして修理工事をするなどして事故の事後処理に奔走したことから原告2人に各々慰謝料30万円が認められた事例(神戸地判平成13年6月22日交通事故民事裁判例集34巻3号772頁)

大阪地判平成15年7月30日 交通事故民事裁判例集36巻4号1008頁


ウ 慰謝料 20万0000円
 甲8,同13及び原告◯本人尋問の結果によれば,原告建物の表玄関部分を損壊され,被告との損害賠償交渉が難航したことも相まって,原告◯らは,年末年始を含む1か月以上にわたって,表玄関にベニヤ板を打ち付けた状態で過ごすことを余儀なくされ,それによって,生活上及び家業上の不便を被ったことが認められ,これらによる精神的苦痛に対する慰謝料としては,20万円が相当である。


ペットに関する慰謝料

 事故でペットが死亡ないし死亡にも匹敵する重い傷害を負ったときには,ペットに関する慰謝料が認められる場合があります。

 詳しくは,「Q交通事故で家族同然に扱っていたペットが死亡したのですが、飼い主は慰謝料を請求できるのでしょうか?」を参照下さい。

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