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腓骨の偽関節で後遺障害等級が認定されたのですが、逸失利益は認められるのでしょうか?

2019.07.31

腓骨の偽関節の後遺障害

 腓骨は,脛骨と対になって存在する下腿の長管骨を指します。

 腓骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残す場合に,「長管骨に変形を残すもの」として,後遺障害12級8号が認定されます。

腓骨の偽関節による労働能力の喪失

 腓骨の偽関節は,加害者(保険会社)から労働能力喪失が争われやすい後遺障害の一つです。

 しかし,腓骨には約6分の1程度の支持機能があるとされ,腓骨偽関節による足関節の変形,不安定性,亜脱臼,運動症及び疼痛等が生じる場合があることから,一般的には「下腿の支持機能が減弱することが考えられますので,労働能力喪失率どおりの認定になる」(蛭川明彦裁判官の講演録「労働能力喪失の認定について」赤い本平成18年下巻184頁)」と指摘されています。

 一方,疼痛もなく,歩行・立位等の日常生活に影響を及ばさず,被害者が日常業務においてあまり移動を伴わないような事務職などの肉体的活動が要求されない職業であれば,自賠責の労働能力喪失率よりも低い喪失率が認定がなされる可能性があり,逆に,被害者がスポーツ選手のみならず,荷物を持ち上げたりして下腿に負荷が特にかかると思われる運送業,建設業などの肉体的活動を主とする職業であれば,自賠責の労働能力喪失率よりも高い喪失率が認定される可能性があります(同講演録184頁)。

 なお,腓骨の偽関節に関する現行の自賠責制度の運用については,平成16年6月4日付厚生労働基準局長通達(基発0604003号)による労災制度における認定の取扱いの変更に合わせて,8級9号から12級8号へ下げられています。

 労災制度の認定の取扱い変更においては,整形外科の障害認定に関する専門検討会報告書が参照され,同報告書IV 下肢(119頁)では,「腓骨は脛骨に比べ細い骨であり、脛骨のいわば添え木のような役割を果たし下肢の支持機能に与える影響はわずかであると考えられ、また、腓骨の偽関節は歩行に対しほとんど影響を与えないものと考えられている。腓骨は下腿への静的負荷の6分の1を支えているとの論文もある。」という理由があげられた上で,長管骨の変形(第12級8号)として評価するのが妥当であると指摘されています。

 この等級変更の経緯を考えると,腓骨の偽関節の後遺障害による歩行・立位等への影響が乏しいとしても,12級8号の後遺障害等級はそのことを前提としたものだということができます。

 私見ですが,仮に事務職などの肉体的活動が要求されない職業であっても,評価において織り込み済みだとして,等級表どおりの喪失率が認定されるべきではないでしょうか。

 また,労働能力喪失期間については,むち打ち症などとは異なり,馴化(慣れによる労働能力の回復)の可能性がありませんので,「特段の期間制限は必要ない(同講演録184頁)」と指摘されています。

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