鎖骨の変形の後遺障害
鎖骨に「著しい変形を残すもの」に該当する場合,後遺障害12級5号が認定されます。
「著しい変形を残すもの」とは,裸体になったとき,変形が明らかにわかる程度のものをいい,変形がレントゲン写真によってはじめてわかる程度のものは該当しないとされています。
鎖骨の変形による労働能力の喪失
鎖骨の変形は,加害者(保険会社)から労働能力喪失が争われやすい後遺障害の一つです
鎖骨の変形の場合,肩関節の運動障害の程度は軽微であるとされ,一般には労働能力の喪失が認められにくいといえます。
まず,鎖骨の変形があっても,肩関節の運動障害も疼痛も無いような場合には,モデルやタレントのように容姿が重要な職業についていなければ,労働能力に影響するとはいえません。
次に,鎖骨の変形があり,肩関節について軽い運動障害はあるけれども,疼痛は無い場合,上記モデル等に加え,スポーツ選手や職人等の肉体労働者であれば労働能力に影響する可能性がありますが,デスクワーク中心の事務職なら,労働能力に影響するとはいいにくいと思われます。
一方,鎖骨の変形によって疼痛が残存しているような場合,痛みは気力等の面で仕事に影響を及ぼすと考えられます。したがって,労働能力の喪失が認められやすいといえます。
鎖骨の変形について労働能力喪失が認められる場合,労働能力喪失率については,裁判例では概ね10%~14%で認定されています。
労働能力喪失期間については,変形自体が問題となっている場合(モデル等)や肩関節の運動障害が問題となっている場合(スポーツ選手等)には,就労可能年齢の67歳まで認められることが多く,疼痛等の神経症状のみの場合には,労働能力喪失率が逓減されたり,労働能力喪失期間が限定される傾向にあります。