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着衣・所持品について中古取引価格で算定することが困難だとして減価償却により損害額が認定された事例

2019.09.02

大阪地判平成25年12月3日交通事故民事裁判例集46巻6号1543頁

争点

 被害者の着衣・所持品の損害評価が争点となりました。

判決文抜粋


(8) 物損        1万6685円
   ア 証拠(原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,各購入価格は以下のとおりであると認める。
    (ア) ヘルメット 5500円
    (イ) シャツ   3800円
    (ウ) ズボン   8500円
    (エ) 靴     1980円
   イ もっとも,これらの事故当時の中古取引価格を算定することは困難であり,民事訴訟法248条の法意に照らし,適宜減価償却等の方法によって事故当時の時価額を算定すべきところ,これらは事故から概ね半年前に購入したものであるということであり(原告本人),ヘルメットについて償却期間5年,シャツ・ズボンについて同3年,靴について同2年とし,定額法による減価償却を行うと,ヘルメットについては購入額の90%,シャツ・ズボンについては購入額の6分の5,靴については購入額の75%を事故当時の時価とすることが相当である。
   ウ 以上より,物損については以下のとおりとなる。
    (ア) ヘルメット      4950円
    (イ) シャツ        3167円
    (ウ) ズボン        7083円
    (エ) 靴          1485円


解説

 交通事故により,着衣や所持品が損傷するなどして損害が発生することがあります。

 損傷したものが,例えばブランド品やスマートフォンなど中古取引市場が成立しているものであれば,事故当時における中古取引価格を算定することは比較的容易です。

 しかし,損傷したものが通常の着衣等であれば,一般に中古取引が行われていないことから(古着についてフリーマーケットで取引されている例はあっても,取引価格について相場があるわけではありません),事故当時の中古取引価格の算定は困難だといえます。

 本判決は,民事訴訟法248条が,「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」と定めていることに照らして,適宜減価償却等の方法によって事故当時の時価額を算定すべきだとして,着衣・所持品の損害額を算定しました。

 中古取引価格の算定が難しい所持品等の損害評価をする場合,交通事故の賠償実務では,本判決のように減価償却による算定が広く行われています。

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