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症状固定後の将来休業損害が認められた事例

2019.08.23

札幌地判平成13年6月18日自保ジャーナル1409号5頁

争点

 50歳以上で疼痛の増強により人工関節置換手術が必要となる蓋然性がある被害者について,手術に伴う将来の休業損害が認められるかが争点となりました。

判決文抜粋


4 将来に人工関節置換術を受ける必要があることによる損害
(1) 原告が50歳以上で疼痛がさらに増強したときは人工関節置換術を行う必要があることについては,当事者間に争いがないところ,甲第10号証によると,その場合には8週間の入院と6か月の通院を要し,現時点での治療費として100万円程度を要することが認められ,また,2(2)で述べたとおり,原告は,50歳に達した時点で同手術を受けることになる蓋然性があると考えられ,同手術により原告に発生すると考えられる損害についても,予め請求をする必要があると認められる。そして,その損害額は,治療費として100万円に50歳までの12年のライプニッツ係数(現価表)0.5568を乗じた55万6800円,8週間分の入院雑費として1日当たり1300円に56日間を乗じ,さらに同係数0.5568を乗じた4万0535円及び6か月分の休業損害として原告の年収額273万0188円の6か月分に労働能力喪失率73パーセントを乗じ(この期間については,労働能力を100パーセント喪失すると考えられるところ,2(2)で既に27パーセントについては逸失利益が認められているから,同手術を受けることによる労働能力の喪失は,残り73パーセントについてということになる。),さらに同係数0.5568を乗じた55万4861円の合計115万2196円であると認められる。
(2) 以上により,原告が将来において人工関節置換術を受ける必要があることによる損害は,115万2196円であるということができる。


解説

 交通事故の損害賠償において,休業損害とは,「傷害の治癒(あるいは後遺障害の症状固定)までに発生する就労不能ないしは通常の就労ができないことにより生ずる収入減少額(青本26訂版69頁)」と理解されています。

 そして,症状固定後の就労の支障については,後遺障害逸失利益の枠内で評価されるのが一般的です。

 本判決は後遺障害10級が認定された被害者(症状固定時38歳)の事案ですが,50歳以上で疼痛がさらに増強したときは人工関節置換術を行う必要があることについて当事者間に争いがなく,50歳に達した時点で同手術を受けることになる蓋然性があるとして,裁判所は通院予定期間6ヶ月間の将来休業損害を認めました。

 既に10級の労働能力喪失率27%分は後遺障害逸失利益において認められているとして同労働能力喪失率を控除し,労働能力喪失率73%を収入に乗じて計算しているところは,将来休業損害特有の算定方法として注目されます。

 本判決は,将来休業損害を認めた珍しい事例として,その算定方法も含めて参考になると思われます。

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