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減収はないが、休業損害に準ずる損害が認められた事例

2019.04.10

大阪地判平成25年12月3日交通事故民事裁判例集46巻6号1543頁

本件の争点

 福祉施設の運転手について,職場復帰後には金銭的な減収が生じていないことから,休業損害が認められるかが争点になりました。

判決文抜粋


イ 平成22年1月21日から症状固定まで
(ア) この時期には原告はAの仕事に復帰しており,かつその後症状固定までの間,原告は事故前とさほど変わらない給料を得ていたものと認められる。そうすると,当該期間について原告に金銭的な減収が直接発生していたとはいえない。
(イ) しかしながら,本来は休業等により減収が発生してもおかしくない状況において,本人や同僚の特段の努力によって減収を回避した場合には,一定の割合で休業損害の発生を認めるのが公平に資するものであるところ,原告は福祉施設の送迎運転手であり,その運転や車内管理を慎重に行う必要があったが,職務復帰後,特に車内管理について相当な問題が生じ,本人の努力や同乗していた同僚の努力や配慮によって弊害が相当程度カバーされていた状況が認められる。そうすると,原告については一定の範囲で休業損害に準ずる損害の発生を認めるべきであり,その割合は諸般の事情に照らして30%を相当とする。


解説

 休業損害は,事故前の収入を基礎として,現実の収入減があった場合に認められています。給与所得者については,有給休暇を使用した場合に減収がなくても休業損害が認められていますが,そのような事情がなければ,現実に収入減があったかどうかという原則にもとづいて判断されることになります。

 本件は,職場復帰後に金銭的な減収が直接生じていませんでしたが,裁判所は,「本人や同僚の特段の努力によって減収を回避した場合には,一定の割合で休業損害の発生を認めるのが公平に資する」として,30%の休業損害に準ずる損害を認めました。

 逸失利益の場合は,減収がない場合にも特段の事情を認定して比較的認められる傾向にありますが,休業損害が現実の収入減がない場合に認められるのは珍しく,休業損害に準ずる損害を認めた本件は貴重な裁判例であると思われます。

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