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交通事故に関して各種支払いがなされた場合、遅延損害金と元本のどちらから充当されるのでしょうか?

2019.06.24

民法491条の規定

 民法491条では,損害額の支払いがなされた場合,まず遅延損害金に充当され,その余が元本に充当されると定められています。

 しかしながら,交通事故に関する各種支払いについては,上記の民法のルールとは異なり,多くの場合,元本から充当される扱いが取られています。

交通事故に関する各種支払いと充当関係

(1)労災保険金

 最判平成27年3月4日民集69巻2号178頁は,遺族補償年金の支払について,特段の事情がない限り,不法行為時(事故時)に元本から充当されるとの判断を示しました。

(2)国民年金,厚生年金

 最判平成22年9月13日民集64巻6号1626頁は,国民年金法に基づく障害基礎年金,厚生年金保険法に基づく障害厚生年金の支払いについて,不法行為時(事故時)に元本から充当されるとの判断を示しました。

(3)人身傷害保険金

 最一小判平成24年2月20日民集66巻2号742頁は,不法行為時(事故時)ではなく保険金支払時に元本に充当されるとの判断を示しました(但し,損益相殺の対象となるのは,裁判基準の損害額を基礎として計算した自己過失分を上回る部分です)。

(4)加害者の一部弁済,任意保険会社の内払い

 この点について判断した最高裁判例はありませんが,多くの下級審裁判例では元本充当の黙示の合意が認定され,不法行為時(事故時)の元本から充当されています。

 2019年4月7日公開のコラム「任意保険会社の内払いと近年の裁判例における黙示の合意の認定傾向」において,過去5年20件の裁判例を分析していますが,任意保険会社から医療機関等へ直接支払われた内払いの部分について,充当関係が争われた上で黙示の合意が否定された裁判例は見当たりませんでした。

 また,大阪地裁民事交通訴訟研究会編著「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準(第3版)」81頁には,「自賠責保険と同様,費目による拘束はないが,任意に支払われるものであるため,元本充当の合意が認められることが少なくないように思われる」との指摘があります。

(5)自賠責保険金

 最判平成16年12月20日判例時報1886号46頁は,自賠責保険による損害賠償の支払いについて保険金支払時に遅延損害金から充当されるとの判断を示しました。

最判平成16年12月20日判例時報1886号46頁


被上告人らの損害賠償債務は、本件事故の日に発生し、かつ、何らの催告を要することなく、遅滞に陥ったものである(最高裁昭和三四年(オ)第一一七号同三七年九月四日第三小法廷判決・民集一六巻九号一八三四頁参照)。本件自賠責保険金等によっててん補される損害についても、本件事故時から本件自賠責保険金等の支払日までの間の遅延損害金が既に発生していたのであるから、本件自賠責保険金等が支払時における損害金の元本及び遅延損害金の全部を消滅させるに足りないときは、遅延損害金の支払債務にまず充当されるべきものであることは明らかである(民法四九一条一項参照)。


充当関係のまとめ

これまで述べてきた充当関係を表にまとめると以下の通りになります。

支払いの種目 充当方法 充当時期
労災保険金

元本から充当

不法行為時

国民年金,厚生年金
人身傷害保険金

保険金支払時

加害者の一部弁済,任意保険の内払い

・黙示の合意が認定された場合は元本から充当

・黙示の合意が認定されなかった場合は遅延損害金から充当

・黙示の合意が認定された場合は不法行為時

・黙示の合意が認定されなかった場合は保険金支払時

自賠責保険金

遅延損害金から充当

保険金支払時

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