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もう定年を迎えて働いていないのですが、逸失利益は認められるのでしょうか?

2018.05.13

高齢者の逸失利益とは

 高齢者であっても、働いている有職者であれば、通常の給与所得者や事業主と同様に逸失利益が算定され、稼動期間が短くなるくらいで、高齢者以外の者と大きな違いはありません。

 しかし、既に定年退職していたケース等、交通事故当時に収入がゼロだった場合には取扱いが異なります。

 高齢者の場合でも逸失利益が認められる場合があるものの、その生活状況によって、算定方法には違いが生じます。具体的には、高齢者の逸失利益は、以下のように算定されます。

【高齢者の場合】
=【基礎収入※】×【労働能力喪失率】×【(67歳-症状固定時の年齢)<(平均余命の2分の1)→原則として平均余命の2分の1に対応するライプニッツ係数】

※原則:就労の蓋然性があれば賃金センサス年齢別平均の賃金額を基礎収入とする。

※高齢者についても、原則通り【労働能力喪失期間】を当てはめて算定すると、計算上労働能力喪失期間がまったく認められなかったり、認められてもきわめて短期間となってしまったりする場合があるため、症状固定時から67歳までの年数が平均余命年数(簡易生命表ベース)の2分の1以下となる場合は、原則として平均余命年数の2分の1の期間を労働能力喪失期間とする。
 但し、必ずしもそのようにして求められた期間が労働能力喪失期間として認定されるとは限らず、諸般の事情を考慮して短縮される傾向にあることに注意が必要。

高齢者の基礎収入

 高齢者の基礎収入については、高齢者の生活状況によって後遺症の逸失利益のための基礎収入は変わります。具体的には、以下のような基準を参考に算定されています。

  • 高齢者が働いており、有職者であれば、交通事故前年度の年収額が基礎収入となります。
  • 高齢者が家事労働をしていれば、学歴計女子労働者全年齢の平均賃金が基礎収入となります。
  • 高齢者が無職であっても、労働能力と労働意欲があり、将来の就労の蓋然性が認められれば、男女別の年齢別平均賃金が基礎収入となります。
  • 高齢者が無職で、就労の蓋然性がない場合は、基礎収入はゼロとなります。

 実際の裁判上の事例としては、息子が経営する医院で日常清掃業務に従事していた被害者(症状固定時80歳、男性)の脳挫傷等による後遺障害について、毎日約3時間、医院の玄関先などの清掃等業務を行って年間240万円の給与収入を得ていたところ、同業務を外注した場合の費用や親子関係等勘案して、給与の50%が就労対価にあたるとして、基礎収入とて算定した事例や、無職の被害者(症状固定時69歳、男性)が交通事故で被ったしびれなどの神経症状につき、事故当時は無職でも、図面を引くなどの技術を有し、就職予定も存したなど、就労蓋然性が高いことから、同年に同年齢の男性の平均年収を基礎年収としたケースがあります。

 なお、後遺症の逸失利益を算定する場合には、年金を基礎収入とした逸失利益は認定されないという事には注意が必要です。なぜなら、後遺障害を負っても年金支給額は減額されないからです。

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