支払額が1.3倍となる約70万円の増額に成功した事例

30代男性 / 会社員
後遺障害等級
併合14級(腰部14級9号,左膝14級9号)
傷病名
腰部挫傷,左膝挫傷
保険会社提示額
253 万円
最終獲得額
323万円

事例のポイント

30代男性 / 会社員

後遺障害慰謝料の1.6倍増を含む支払額が1.3倍となる約70万円の増額に成功

  保険会社提示金額 増額 弁護士介入後
入通院慰謝料 101 万円 1.1 109 万円
休業損害 13 万円 1.5 20 万円
後遺障害慰謝料 70 万円 1.6 倍 110 万円
後遺障害逸失利益 69 万円 1.2 倍 84 万円
治療費など 42 万円 1.0 倍 42 万円
既払金 -42 万円   -42 万円
合計 253 万円 1.3 倍 323 万円

取得金額

323万円

受傷部位

腰部・足

後遺障害等級

併合14級(腰部14級9号,左膝14級9号)

当方:0 相手:100 道路:道路(山道の曲がり角)

態様:当方自転車と相手方四輪車の正面衝突

担当弁護士の解説

 保険会社の提示内容は,裁判基準を大きく下回る後遺障害慰謝料を提示していたほか,「むち打ち症で他覚所見がない場合等」の軽度の神経症状の労働能力喪失年数の目安を2~5年と定めている大阪地裁の基準をもとに,労働能力喪失年数4年で計算した逸失利益を提示していました。

 また,保険会社は,休業損害の日額の算定について,事故前3ヶ月を稼働日ではなく,90日で割った計算を行っていました。

 休業損害の日額計算については,保険会社の実務上,90日で割って計算する方法が広く取られています。

 しかし,雇用契約上,月収には休日に働くことは反映されておらず,休日に働く場合,別途休日出勤手当などが加算されることが一般的です。

 月収に休日分の給与額が反映されていないにもかかわらず,日額給与額を計算する際に,月収を休日が含まれた歴日数で割る保険会社の計算方法は妥当とはいえません。
 そこで,日額計算方法が争点になった名古屋地判平成26年5月28日自保ジャーナル1926号144頁(下記参考裁判例参照)では,「基礎収入は、本件事故前3か月間の収入56万2215円を稼働日数62日で割った9067円とする」として,実稼働日で除した額を日額として休業損害が計算されていることを示しました。

 そして,東京地判平成23年2月8日自保ジャーナル1849号125頁でも,「欠勤日が連続していない場合等で、当該欠勤日にのみについて休業損害が発生したとして算定するときは、実労働日1日あたりの平均額を算出するほうが妥当な場合であることが多いであろう。」と,欠勤日が連続していない場合に稼働日で割る方法が妥当であると指摘されていることを示し,事故前3ヶ月の収入を実稼働日で割って日額を計算すべきだと主張しました。

 上記主張を含めて弁護士が粘り強く交渉したところ,稼働日で割った日額をもとに計算した休業損害の獲得,後遺障害慰謝料の1.6倍増,労働能力喪失年数5年で計算した後遺障害逸失利益の獲得を実現し,支払額が1.3倍となる約70万円の増額に成功いたしました。

参考裁判例

名古屋地判平成26年5月28日自保ジャーナル1926号144頁


(7) 休業損害 55万3087円(請求:58万0288円)
ア 原告の主張
 本件事故前3か月間の収入は56万2215円,稼働日数は62日であり,退職前に61日休業したほか,3日の入院期間中はいかなる業務に従事することも不可能であったから,休業日数は64日となり,58万0288円の休業損害が認められるべきである(56万2215円÷62日×64日)。
イ 被告らの主張
 収入日額は91日で除した額とすべきである。入院時には既に退職しており,休業日数は61日である。
 ウ 判断
基礎収入は,本件事故前3か月間の収入56万2215円を稼働日数62日で割った9067円とする。現実に減収の発生が認められるのは,Bの休業61日分であり,休業損害は55万3087円(9067円×61日)を認める。


 

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